「明るさ」をマニュアルで調整する

通常、家庭用のビデオカメラは、撮影する映像の「明るさ」を自動で設定するようになっています。暗いところで撮影するときは出来るだけ明るく撮れるように、逆に明るいところでは、光を抑えて撮れるように・・・という具合になっています。

しかし、これは要注意。映像を台無しにしかねません。
なぜでしょうか。

ビデオカメラが「明るさ」を間違って調整してしまう理由

理由は簡単。演奏会は殆んどの演奏者が正装をしています。つまり、「黒」か「白」の服です。

白とびの例

画面の大部分を暗い色が占めると、
自動で明るく調整してしまう

例えば、黒い服の人をズームで撮った場合、「黒い服」が画面の大部分を占めると、ビデオカメラは「暗い場所」で撮影していると勘違いをして、明るく撮れるように間違って調整してしまいます。
そうすると、もともと黒服より明るい部分(顔、手など)を必要以上に明るくしてしまい、「白とび」してしまいます。「白とび」は見てみると分かりますが、階調が無くなり、とても見難い映像になってしまいます。

また、服装以外でも、例えば背景が暗いところ、スポットライトを当てて演奏しているところなどでも、背景の暗い部分が画面の大部分を占めると、同様に間違った調整をしてしまいます。

「明るさ」をマニュアルで調整してみよう

カメラの設定を変えて、明るさをマニュアルで調整してみましょう。(カメラにより出来ないものもあります)

設定方法は個々のカメラにより違うので、説明書を参考にして頂ければと思いますが、ここでは、どういったことを基準に明るさを調整するかを説明します。

液晶画面の角度による視認性

まず、気をつけなければいけないのは、ビデオカメラに付いている「液晶画面」をあまりあてにしてはいけないということです。液晶画面はよほど性能の高いものでない限り、液晶を見る角度によって、見える明るさが異なります。
つまり、必ずしも液晶画面で見えている明るさで、撮影出来ているとは限らないということです。

見る角度によって、液晶画面の明るさが変わることは、カメラの性能なのでどうしようもありません。
大切なのは、「どの角度で液晶を見れば、実際に撮影されている明るさに近いのか」ということを把握できるかどうかです。
まずは、普段からこれを念頭に撮影し、感覚で覚えておく必要があります。

明るさ調節の基準は「人の肌」

液晶画面の性質を大体把握できたら、後は「何を基準に明るさを調整するか」です。

私たちは、大体の場合「人の肌」を基準とします。演奏会の撮影の場合、それ以外は殆んどあてになりません。
服の色は白か黒というように両極端ですし、殆んどの楽器は光を反射します(明るすぎる)。
人の肌が一番落ち着いて安定しているのです。

この「人の肌」を基準にして、明るすぎず、暗すぎずの調整をすれば、適切な明るさで撮影ができます。

明るさのより明確な基準「ゼブラ」を使う

カメラによっては「ゼブラ」の機能がある場合は、それを使ったほうが明るさの基準がより明確になります。
(業務用のビデオカメラには必ず備わっているので、私たち業者は必ず基準とします。)

「ゼブラ」とは、ある一定の明るさ以上のところは、「斜線」などを表示してくれる機能です。
画面内に写っているものを、数字の0~100(0は黒、100は白)で明るさを判別し、特定の数字(殆んどの場合、70と100)以上の箇所が分かるようになっています。
特にゼブラを100に設定しておくと、斜線が入った部分は全て「白とび」ということになります。
この機能を利用して、明るさを調整すると、前述のように液晶画面の明るさが不正確でも、適切に明るさを調整することができます。

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