全体的な「構図」を考えて撮ろう

「構図」は映像の品質を左右する重要なものです。
撮りたいもの(人)だけに囚われず、画面全体のバランスを考えて「構図」を決めるといいでしょう。

人物を中央で撮るのはNG?

特定の演奏者を撮影しようとする場合、どうしてもその人を画面の中心に考えてしまいがちです。しかし、実際に人物を中央にした場合、あまり見栄えのする映像にならない事がほとんどです。
それではどのように考えれば良いのでしょうか。
まず、「人の向き」と「人+楽器」で考えると、いい「構図」が見えてきます。

構図の良い例と悪い例 人物が中央に来ている例

上の例はピアノ演奏の撮影画面ですが、左の構図は人物が中央になっており、左側に無駄なスペースが生じています。また、肝心の楽器も中途半端に写っており、決して良い構図とは言えません。
一方、右の構図は、人物が左に寄っていて、右にピアノが大きく捉えられており、バランスの取れた構図と言えます。

このように、人の向き、楽器の位置を考えながら、バランスの取れた構図を探してみましょう。

「引き」で全体像を撮影する場合の注意点

ある程度引いて撮影をする場合、以下のことに気をつけて撮ると良いでしょう。

①どこまでがテレビで映る範囲(セーフティエリア)か、把握しておく。

テレビには、その種類によって、端が切れて見えないエリアが存在します。概ねどのテレビでも問題なく見れるエリアを「セーフティエリア」と言います。セーフティエリアは、以下のように画面の80%、90%のラインで役割が異なります。

セーフティエリアライン参考

赤線・・・90%(アクションセーフ)

動くものを認識させるには、この線より内側に収める。

青線・・・80%(タイトルセーフ)

文字等を読ませるには、この線より内側に収める。
映像上重要な被写体はこのエリアに収めるのが無難。

上記の例はオーケストラの正面からの撮影画面ですが、指揮者を中心に、バイオリンとチェロのトップを80%エリアの中に収めるようにしています。また、最上段のパーカッションでも90%の中に収めています。
「どんなテレビでも問題なく映っている」ように撮影するには、このようにセーフティラインに収めて撮影することが重要です。

②上下のバランスに気をつける。

上下のバランスは、意識しないとなかなか気づかないものです。特定の人を意識しすぎると、全体的な構図が見えにくくなってしまうので、できるだけ「トータル」に構図を捉えて見ると良いでしょう。

構図の良い例、悪い例 人物に囚われすぎている例

上の例は、メインの演者=歌手に囚われすぎて全体的なバランスが崩れている例です。ピアニスト+ピアノ+歌手をトータルで考えるとバランスの良い構図が見えてくるでしょう。

構図の良い例、悪い例 ステージ上を意識しすぎている例

全体的なバランスを考えたときに、ある程度妥協せざるを得ない場合もあります。2例目は、画面の下(手前)にステージの端が入ってしまいそうなケースです。

左の画像は、ステージの下端を隠すために、全体的に構図を下げてしまっていますが、その分、上に無駄なスペースができてバランスの悪い構図になっています。右の画像は、手前にステージの端が写りこんでいますが、全体的なバランスは取れています。

特定のものにこだわりすぎて、バランスの悪い構図のまま撮り続けるよりは、トータルでベターな構図を探して撮ったほうが、結果的に良い撮影になることが多いので、常に構図を意識すると良いでしょう。

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